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アルスノバでの受け取りと、終着駅

靴を受け取りに行くと、さっそくフィッティング。
とてもきつく作られているので、片足履くだけで30秒位かかる。
ご主人から、店の周囲、普通に歩いて2分程の距離を歩いて来るように言われる。
ゆっくり歩き、踵に痛みを感じたら無理をせず引き返すように言われ、店外へ。

甲がきつくて痛いけど、別に歩けないほどじゃない、踵は大丈夫…と考えながら一周して戻る。
思った以上に早く戻ったらしく驚かれる。
どうやら革靴に慣れている方は比較的皮膚が丈夫で慣れるのも早い、との事。
この日はKAILLERSを履いていった。ソールとヒールの部材が今の時代では考えられない程良い素材だそうで、大事にするように言われた。

試着しただけの靴をご主人に磨いてもらいながら、靴の手入れの仕方、1度履く事に少しずつ距離を伸ばし慣らす事、どんな修理でもできる等々の説明を受け、店を出た。

DSC04698.jpg
納品の1ヶ月程後、土踏まずの調整に行くところ。踏まずが痛くて緩めに結んでいたのでこのあと怒られることになる笑。


…正直、万人にお勧めできる靴屋かと問われると、そうではない。
勿論信念がおありの、素晴らしい靴屋だが、それでもあえて色々あげつらうと
つくりが良いといっても、婦人靴として税込7万半はやはり高価だし、
本当にぴったりに上がってくるから慣れるまで結構痛いし、
靴紐はタッセル付だから好きな紐に変える事も結び方を変える事もできないし、
ご主人はこちらが気持ちよくなるような言葉は一切言ってはくれないし、
なんだかよくわからないがノーと言いづらい威圧感があるし、
スニーカーなんぞ履いて行こうものならそんな柔らかい靴!と3回位言われる(注文時の私)。
靴と足に対してもの凄く真摯であるゆえに、あれは良くないですそれは素人の買い方です家事は男にもやらせないと駄目ですできればもっと寝た方がなどとアドバイスがてんこもり。もう靴屋なのか何なのか分からない笑
幅狭靴を作る多くの靴屋のように、いかに幅の狭い靴がないかで話が盛り上がり、謎の一体感が生まれる事もない。
というより、あまりこちらにその手の話をさせてくれない。その10倍位の質量でもって、店の靴自慢で返されるから笑


でも、今の靴が緩くなっても、もっと狭い木型で釣り直せる と言ってくれた。
私の足を見て、恐らくもっと細くなるだろう、でもどんなに細い靴でも作れるから と言ってくれたのだ……!

これがどんなに、どんなに素晴らしいことか。
この言葉を思うだけで、私は胸がいっぱいになった。


ここからはとても個人的な話になるが、靴の購入は一種の恐怖だった。
外反母趾を防ぐためにも狭い靴が必要なのに、それを履けば履く程、足は締まり細くなっていく。
新しく靴を買い無事それが履けたとして、1ヶ月後は?半年後は?
その時も履ける保証はどこにもなかった。

靴屋で一番狭い木型の靴が、履けなかった事は一度もなかった。
だから、その靴が駄目となると店探しから始めなければならなかった。

もうそんな思いはしなくていい。
幅の狭い靴を探し始めて、長かったような、短かったような。
3年程休んでいた時があったから、短い方か。


ご主人は、昔から知っていたならもっと早く来れば良かったのに、と笑っておられたが、私は今で良かったと思っている。
当時はまだ若く、靴に7万なんてあり得ないと思っていたし(今もちょっと思うけど笑)、靴のつくりにはまるで興味がなかったので、この靴の良さは微塵も分からなかっただろう。
色々試して、失敗したからこそ納得できるところもたくさんある。
だから、今で良かったのだ。

間違いないと思える靴屋がある事が、こんなに幸せだったなんて知らなかった。
靴は10回を数える頃に12時間履けるようになった。
私は、もう大丈夫。
アルスノバを、幅狭靴探しの終着駅にしよう。


…終着駅が、古靴探しの始発駅かもしれないのは、また別のお話。
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アルスノバのロングウイングチップ

靴ができると葉書が送られてくる。
まずはできあがった靴の詳細から。

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外羽ロングウイング、4列の鳩目、黒いカンガルー革。注文票によると木型はS13。
13ってなんだろう?今度聞いてみる事にする。
ロングウイングのつなぎ目はすっきり、踵のみ。


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底面。
端に小さくMADE IN JAPAN、中央に5と型押しされている。靴に入る数字はこれしか見当たらない。
ヒールはラバー。
前足部は伏せ縫いの上、ビンテージスチール付。
(こういうのもスチールでいいのかしら?)
ぐるりと飾り彫りのようなものがある。稀に紳士靴でも▽が並んだソールを見かけるが、それとはまた違い、手彫りのように見える。ネットで調べてもよく分からない。

マッケイの縫い目は、返し縫い状に縫われている。100年前のドイツ製ミシンで縫われているとの事で、これができるのはうちだけと、ご主人自慢のソール。

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左:一般的なマッケイ
右:アルスノバのマッケイ


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爪先。
丸いコバ。甲は低いが、爪先が盛り上がっているので指が当たらず、全ての指が上下に動かせる。


DSC04397.jpg
鳩目周辺。
アルスノバの紐靴はタッセルがつく。靴と同革で作られていると思われる。
羽根の付け根は潜り込まない。


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踵。
市革の上からM字に縫われて補強されている。ヒールは巻きスタックの3cm。
アルスノバにはパンプスやサンダル、ブーツ等もあるが、メインは3-4cmヒールの紐靴。
足の細い方はくるぶしが当たりやすいとの事で、くるぶし周辺のトップラインはかなり低め。


DSC04760.jpg
踏まず。
他の靴と比べて最も細くきつく感じるのが、この踏まず囲周辺。
フィッティング時に踏まず下の隙間が気になると伝えたからか?すごく盛られている笑
足が一番華奢な朝は、突き上げがきつすぎて結構痛い。
このパッドの位置は購入後の調整で踵側にずらしてもらっているが、パッドは小さくしない方がいいそうで高さはそのまま。
だんだん気にならなくなってきたので今は様子見。

後にご主人から、怖い位細い、こんなに細いお足は初めて と言われた私の足。
AAAAAに縮まってから試着してきた靴は、どんなに細い靴であっても皆テーピングしたまま履けてしまった。
でもこの靴だけは、納品後もしばらくはとても無理だった程、細くできている。

DSC04383.jpg

小さな白い靴屋の話

さて、前述の素晴らしい靴の話をしよう。
本当は、あんまり人に教えたくないので、記録に残すのにもためらいがあるのだが。
うちのお客さんはあまりブログとかやらないから…なんて言うものだから、なんだかそれが寂しそうに見えてしまったものだから、じゃあ私が書いてもいいですか?と言ってしまったのである。
言ってしまったものは書かないといけないのである。
長くなるので、数回に分けて書いていくことにする。


その靴屋の名前は「アルス ノバ NOGUCHI」。
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このお店、幅狭靴を探し始めた当初から知ってはいた。
しかし、庶民には高価な靴である事、どれくらい幅狭の木型があるのかよく分からない事等の理由により行った事はなかった。

ブログ等のレビューによると、こちらの店では前足部と後足部で別の木型が選択できるとの事。
せめてボール位置が合えば履ける靴になるだろうか…と、私の足長、足囲、ボール位置が後ろ側である事を書き添えて、合いそうな木型があるか、メールを出した。
返ってきた答えは、「どんな細いお足の人でも作れなかったことはありません」だった。


アルスノバ外観
写真を撮り忘れたのでGoogleストリートビューから。

東京日本橋はB3出口から徒歩約2分。
銀行の真っ赤な看板のすぐ横に、小さな白い靴屋がある。
鈴付のガラス扉を開けると、ご主人の、茶靴の艶も眩しいスーツ姿の老紳士が、笑顔で出迎えてくれる。


6畳あるかという店内の壁には様々なデザインサンプルの靴。女性客が主なので、サンプルも全て婦人靴。時代に左右されないデザインが並ぶ。対面の壁は、フィッティング用と受け取り待ちの靴箱で埋まっている。狭いからか椅子は小さな折り畳み椅子が4脚あるだけ。

履いてきた靴や足の話をいくばくかした後、裸足+ストッキングになって計測。
ここではフィッティングは必ず薄手のストッキングで行う。
テーピングは取る。
計測自体は、紙の上に立ち鉛筆でなぞるというごく普通のもの。
足囲やふまず周囲も測るが接地のみ。
足が開帳している事、アキレス腱が発達している事を指摘された。
坂の多いところにお住まいですか?と言い当てられたのは驚いた。

次に睡眠時間とデザインの確認。
どういう靴がお好みですか?と聞かれて面食らう笑
事前情報からあまりデザインは選べないようだ、と思っていたし、HPを見てもどんなデザインがあるかが分かり辛いため、ええい行ってから決めようという事できちんと決めて来なかったのだ。
葬式にも履いていけるようになるべく地味にするか(この時はまだこのパンプスはなかった)、割り切って好みのウイングチップなどで華やかにするか……
プレーンは?調整がし辛いので今回は駄目。
という訳でのせモカタイプを選択。


フィッティング。

まず後足部。
ワイズA以下はSとなり、S以下の場合はサイズを落としてフィッティングしていく。
どんどん靴が小さくなって指が詰まっていくが、指は今は関係ないので勘違いしないように注意する。
途中で、足を支える力の強いロングウイングの方が良さそうだとの事で、こちらにデザイン変更。
更に、男の靴のようになりますが…と前置きされた上で、タン側のトップラインを5mm引き伸ばす。


あるところで、この辺が宜しいかと、と勧められた。確かに、今までの靴よりずっとフィットしているけれど…

もう一つ落としてもいいですか?とお願いしてみる。
最初はあまりきつすぎないところをお勧めしている とやんわり断られる。
(この辺りから、お喋りだったご主人が無言になってくる。
 自分の親よりも年上の男性に、何か失礼な事をしてしまっただろうかと思うと恐ろしく、私はひたすら謝っていた気がする)

でも、やっぱりちょっと物足りない。あとちょっと。
でもこれ緩いですよ。と言ったら、落としたサイズを出してくれた。結果。
きた!
凄まじいフィット感。踵もふまずもがっちり。
最初からぴったりの靴を選ぶ人は珍しいと、驚かれる。
が、私は自分の足より狭い靴を履いた事がないから、そう言われてもどうも自信がない。


駄目元で我が侭を言ってみた。

これで良いと思いますが、もう一つ落としたものも履かせていただけますか?
出してくれた。笑顔だが無言。言葉一切なし。怖い。

……自分の足より狭い靴ってすぐに分かるのね。
履いた瞬間、イタタタタ無理無理ギブギブ!となる笑
この感覚、一生忘れまい。謝りながら靴をお返しする。

ご主人から、本来なら入らない筈の靴が入ってしまう事(開帳足がひどいからと思われる)、
普通なら1足目でロングウイングはあまり勧めず、普通の人なら3,4足目位のオーダーでやっと入る靴である事、本当にこれでいいかを念押しされ、後足部決定。


前足部。
フィッティング用の靴より数mm幅出しをお勧めされる。
ボール部はもっと攻めても全然大丈夫だが、小指の先が当たるのでお勧め通りに。
爪先は+1mmを勧められる。
緩くなるとタイツを履く事も考え+2mmをお願いすると、では1.5mmにしましょうとの事で+1.5mmで決まり。


革選び。
お楽しみの…と言いたいところだが、この時点で開始からすでに2時間。
途中、修理等でちょこちょこ来客があったものの、普通は初オーダーでも全部で100分程で済むそうで、もうクタクタ。
疲労で頭痛もしてきたので、じっくり選ぶ気力もなく、黒なら履かない事はないだろうと色は黒、革は外反母趾に強いカンガルー革を選択。革選びはおよそ3分笑。


最後に納期が3ヶ月程かかる事(正月を挟んだため少し長めだったと思われる)や、支払いをして終了。
支払いは現金でもカードでも払える。発注時点で前金を支払い、納品で残りを支払う。勿論発注時点で一括支払いでも大丈夫。


ご主人は、この足の細さは100人、いや1000人に1人…とか呟いておられた。
私は、1000人に1人って案外多いな…なんて考えながら、他にも色々話をした。
が、疲れていたので、この日は他に何を話したのだったか……。あとは、忘却の彼方である。

Order x3

デフォルトのままだった、PC用のブログレイアウトを変えてみた。
これも公式テンプレだが、前より使いやすい気がする。気が向いたらもうちょっといじる事にする。


実はebayで購入した靴が到着待ちである。3足も。
ちょっと買い過ぎ?という気持ちと、ずっと悩んでいた結果なのだからいいじゃないか、という気持ちが半々。
置く場所あったっけ?と、また夫に呆れられるかな…の気持ちが、ひとつまみ。(少ない)

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1足目。
1ヶ月位Watch listに入れて悩んでいたが、誰も買わないので購入。約70$+送料。40s。

2足目。
しばらくWatch list入りしていたが、別件で問い合わせ中だったのでそちらの回答を待ってから買おうかな、と思っていたらすっかり忘れていてEnded(販売終了)。
あわててもう一度探して発見、忘れないように即確保。約35£+送料。60s。

3足目。
よし夜買うぞ!と意気込んでいたらうっかり寝てしまいEnded(またか)。
青ざめながら起床するも、余計なお金を使わなくて良かったんだ、と自分を慰め、フレークをもそもそ食べていたら再出品、購入。約35$+送料。年代不詳。


即決販売のみで、どれも送料込みで1万円以下。
年代には全て、セラーが言うには、という枕詞がつく。
多分、ビンテージを名乗って良い靴達だと思う……多分。多分。だといいな。

既成で合う筈がない足なのに何故買うのか、という理由はまたいつか書く。気が向いたら。


まだ手入れ待ちの靴があるんですけどね……。サンダルは後回しでいいかな。
手入れも一気にはできないから、しばらくは詰みゲーならぬ詰み靴になるだろう。

私の壊滅的に細い足について

少し、私の足について話をしようと思う。
タイトルの細い足とは、ふくらはぎや足首ではなく
短靴に覆われる部分…足幅や踵のことである。


靴のサイズ表記には足長の他に足囲がある。
日本のJIS表記では、A、B、C、D、E、EE、EEE…と
6mmずつ足囲が幅広甲高になっていく。
私の足は、JISにはない。
足長約230mm。足囲約180mm。
180mmはAの204mmより24mm細いから、JISにはないがAAAAAという事になるのだろう。

見慣れない方には少々気持ちが悪いかもしれない。
こんな足である。



着席して足を組んだ状態。

起立して測るとEという、
物凄い開帳足(足の横アーチが崩れて本来の幅よりも広がっている)で
蒟蒻足(やわらかい足)で外反母趾・内反小趾のため
テーピングをしている。


以前パターンオーダー靴の&steadyにお邪魔した時、話の流れで
ーーテーピングってした方がいいんですか?
ーーした方がいいですよ!
というような会話をしたが、その後テーピングについてネットで調べ、
自己流ながら毎日真面目に取り組んだ結果
およそ4ヶ月でAAからAAAAAまで締まってしまった。

開帳足が改善した事を意味するので、健康に近づいたと喜ぶべき事だが
細過ぎてとにかく靴がない。


テーピングではこれ以上縮まらないだろうと判断し
昨年末からAAA以下を扱う高価格帯(私にとっては)のオーダーにも手を出し始めた。
が、今度は縦アーチの復活によりボール位置が踵側に下がってきたらしく
オーダー時と完成時で後足部の長さが違うからやっぱり合わない。
正直これは痛かった。
ただでさえ指が長く、平均よりもボール位置-1cmだったのだが。
ボール位置が合わないとヒールが低い靴でも前滑りする。
指は当たるのに踵は緩い。
親指側ばかりが滑るから、靴に対して足が斜めに入ってしまい靴も歪む。


と、まあこのように、色々と困難な足だが、私はあまり悲観していない。

意外と大きな怪我はしていない。
幅の狭い足の方は捻挫をしやすいようだが、それも30余年生きて
覚えてる限り1,2回しかない。
大きな角質やタコや魚の目もない。小さい角質が少しあるだけ。
走ったり運動することも割と好きだ。最近は全然してないけれど笑

私は自分の足が結構好きなのだ。
こんな足でなかったら、ebayやヤフオクで幅狭靴を探し求めた結果
世界の様々な靴を知る事もなかったし
古靴の素晴らしさやシューケアの楽しさに、気付く事もなかっただろう。


そして、うちの靴はいくらでも細く作れる と言ってくれた方に、出会う事もなかった。
この素晴らしい靴については、また今度。
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